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書籍【金曜日のビストロジュン】本音レビュー!シェフと料理が描く人生の物語

『金曜日のビストロジュン』は、実在する広尾の隠れ家レストランを舞台に、最高峰の料理と温かいおもてなし、そしてビストロジュンへ訪れた人の人生の情熱を描いたストーリーです。

この記事は、自宅に300冊以上の本を所有する本愛好家であり、幼少期から日々の食生活や食空間に強いこだわりを持って生きている筆者・りかるが、作中に登場する印象的な名言や「食と人生の選択」を引用しながら、リアルな読書感想文とともに解説します。

『金曜日のビストロジュン』とは?全5話で紡がれる奇蹟の物語

ベストセラー「食堂のおばちゃん」シリーズの著者・山口恵以子さんが描く本作は、単なる美食の紹介にとどまらない「極上の料理と生き様」をめぐる奇蹟の物語です。

「まず一皿目は、題して『光の誕生……海底からの啓示』大トロのブルスケッタです」

主が招待したお客のみに扉が開く、美食を極めた広尾の隠れ家レストラン。

オーナーシェフの古川淳は、医療法人などの経営再生のための会社「ユカリア」の上場を果たした後、社長の座を譲り、現在は会長を務めています。

そんな古川は、友人の堤やイタリアンの名店「メログラーノ」のオーナーシェフの後藤らの力を借り、金曜日の夜に、彼自身が招待したお客だけの贅を尽くした宴を開催していたのです。


第一話 始まりのミートソース

社長を解任された実業家・安本が主人公のお話です。
作中にはこんな印象的な一節があります。

「安本は皿に添えられたくし切りのレモンを取り、関アジのフリットに絞った。一切れ口に入れると、ふっくらした身を包む柔らかな衣が優しく溶けて、フライのカリッとした本とは違う食感が楽しめる。素材が良いのでどんな調理法でも美味いのだろう。人間と同じだな。中身が良ければ何を着ても似合うし、何も着なくても勝負できる。」(P14)

「素材を活かす」ということが何より大事。

材料や持ち味が本来持つ美しさを削ぎ落としによって見出し、その良さを最大限に引き出す。

これは料理だけでなく、自分の生き方や表現にも同じことが言えます。

過剰な飾りを重ねるのではなく、自分自身の素情や本質を素直に受け入れて丁寧に磨くこと。

たとえば牛肉も、5.5キロのブロックを磨いて削ぎ落とし、最後に手元に残る最高級部位はわずか1.1キロほど。

シャトーブリアンとは、牛のヒレ肉(テンダーロイン)の中で中央部の最も太く柔らかい、1頭からほんのわずかしか取れない希少な部位です。

これは人間や日々の選択、クリエイティブにもまったく同じことが言えます。

私のスマホのカメラロールには308,538枚もの写真や動画があります。

しかし、その中で実際に表現として世に送り出しすのはほんの一部。

この記事の写真も、46枚撮影した中から厳選して使用した写真は22枚。

ピントが少しズレていたり、光の入り方や画角が違ったり、どこを一番美しく切り抜くかを突き詰めて考えると、残る写真は半分以下になります。

まさに、余計なものを削ぎ落とし、選び抜かれた一分だからこそ、人の心を揺さぶるのだと思います。


第一話 始まりのミートソースは、妻からシェフ淳へのリクエストで出された「特別なラグーのパスタ」を通して、安本はかつて妻が作ってくれた懐かしいミートソースの味を思い出します。

自分が蔑ろにしていた妻の深い愛と、会社生活を終えて別の形で社会貢献を目指す妻のカッコいい決断に気づかされる、心温まるストーリーです。


第二話 海を往くアクアパッツァ

至高の海の幸・鯛を使ったアクアパッツァとともに繰り広げられる人間模様。古川淳氏のキャリアの転機が描かれます。

「会計士として働く限り限界があった。アドバイスはできるが、それを受け入れるかどうかは相手次第だった。自分が動かせるわけではない。淳は自分が主体となって動きたかった。そして何かを生み出したかった。二〇〇二年、二十七歳で独立して会計事務所「虎ノ門キャピタル」を創設した。目指したのは「切り捨てられた債務者の救済」だった。」(P69)

「「古川さん、病院の再建をお願いできませんか」大手銀行のファイナンス部門の責任者から相談を受けたのは、二〇〇五年、淳が三十歳の時だった。「病院ですか?」責任者は重々しく頷いた。」(P73)

「「これまでの古川さんの企業再生の手腕を見て、あなたなら安心してお任せできると思いました。正直、古川さん以外に適任者はいません。引き受けていただけませんか」淳にとっても病院の再建は魅力的な事業だった。しかし、失敗は絶対に許されない。病院をつぶすわけにはいかないのだ。競売という手段を封じて再生に漕ぎつけるには、どんな道があるのだろう。困難は承知していたが、断るつもりはなかった。「分かりました。全力で取り組みます」その日から、淳は経営不振を抱える病院の資料を調べた。探して、関係者から話を聞いて回った。」(P75)

仕事に対する圧倒的な情熱と、「人や医療現場を救う」という責任感が胸に迫ります。


第三話 明日へのカルパッチョ

明日へのカルパッチョの第三話で語られる言葉の数々は、私にとっても深く共感するものでした。

「城戸雄一郎は椅子に腰を下ろすと、物珍しそうに店内を見回した。
「古川さんが製腕の経営者なのは知ってたけど、まさかこんなお店をやっているとは知らなかったよ」
城戸はビストロ ジュンに招待したお客さんが、誰しも口にするセリフをつぶやいた。
「なにか、心境の変化でもあったの?」「いやあ、何て言うんですかね。いわば成り行きです」
考えてみれば、淳が一般企業の経営再建の仕事から、医療機関の経営再建を専門に手掛けるようになったのも、その始まりは自身が望んだのではなく、いわば成り行きだった。
淳の心をよぎった感慨を察したのか、城戸は何も言わずに頷いた。」(P88)

「美味しい昼食を食べると、仕事への活力も湧いてくる。人間は食べ物で出来ているから、美味しいものを食べるのと不味いものを食べるのでは、気分が段違いなのだ。」(P95)

私自身、幼い頃から食事や健康的なライフスタイルをとても大切にして生きてきました。

自分が口にするものが自分自身の身体やメンタル、そして毎日のエネルギーを作っているからこそ、食事を楽しむことは人生の幸福度を上げる一番の投資だと実感しています。

作中のこの言葉は、まさに日々の食と丁寧に向き合う大切さを再確認させてくれました。

そして、長年の夢が動き出す瞬間が描かれます。

「「私としても馴染みのあるテナントで、正直、手放したくはないんです。でも、新店舗をオープンしたら、とてもこちらまで手が回りません。使わない店のテナント料を払い続けるわけにはいかないし、結局は解約するしかないんですが・・・・・」それを聞いた時、淳の頭にパッと光が開いた。数年来封印していた願望が、殻を破って目の前に現れた。「それ、俺が払う」後藤も浩志も驚いて淳の顔を見た。」(P119)

ずっと心の中で温めていた願望が、意図しないタイミングや流れでパッと目の前に現れる感覚。

直感を信じて即断する古川氏の姿は、自分の本音に従って生きる勇気を与えてくれます。

そして、「成り行き」という奇跡を受け入れて生きるということ。

作中で静かに語られる、古川氏の「いわば成り行きです」という言葉。

一見すると受け身のようにも聞こえますが、実はこれこそが、自分の意思を強く持ち、目の前のことに愚直に向き合い続けてきた人にだけ訪れる「人生の引き寄せ」なのだと感じます。

最初からすべてを計算し、計画通りに進むことだけが人生ではありません。

人生のドラマは、いつだって予想外の「たまたま」や意図しない巡り合わせから始まります。

「こうしたい」という強い意思と本音を抱えて前に進んでいると、ふとした偶然や「成り行き」が背中を押し、想像もしなかった素晴らしい景色へと運んでくれる。

目の前で起きる小さな偶然を面白がり、受け入れていくこと。

その素直な選択の積み重ねが、振り返ったときにすべて意味のある線となり、自分だけの「奇跡の物語」へと繋がっていくのだと深く教えられました。


第四話 変身するフルーツ

淳はルカの前にデザートの皿を置いて言った。
「同じ桃が、カッペリーニにもなればピーチメルバにもなる。見事な変身ぶりじゃないか。ルカちゃんもモデル、奥さん、お母さん、そして実業家と、いくつもの顔を使い分けている。君に敬意を表したデザートだよ」(P164)

「人間」という漢字が示す通り、人は人と人の「間」に生き、関わる関係性や場所によって、その印象や見せる表情が一人ひとり違って見えます。

作中のルカのように、モデル、妻、母、実業家といくつもの顔を使い分けて輝く姿は、まさに磨き上げられた極上の桃のよう。

自分自身の多様な側面を愛し、表現しながら生きていきたいと思わされる素敵な一節です。


第五話 ワインのお相手

プライドや葛藤に縛られていたエリートの母・夏生が、不器用だけど火災現場で命がけで子どもたちを抱えて飛び出してきた娘・春海の「真の価値」と「素晴らしい結婚」に気づく物語です。

「いくつになっても人はやり直せる」「間違いに気づくことがどれほど大切か」を痛感させられ、思わず目頭が熱くなります。

オーナーシェフ・古川淳氏のリアルなプロフィールと劇的な軌跡

作中のオーナーシェフである古川淳氏は、友人の堤やイタリアンの名店「メログラーノ」のオーナーシェフ・後藤祐司氏、スーシェフ小山氏らの力を借りて包丁を握ります。

彼の歩みはフィクション以上にドラマチックであり、読者に強い勇気を与えてくれます。

古川淳氏のプロフィール・経歴まとめ

出身地: 愛媛県松山市
原点: 小学4年生の時に抱いた「公認会計士になりたい」というピュアな夢
学歴・資格: 成績優秀で大学在学中に公認会計士試験に合格
キャリア初期: 大学卒業後、中央監査法人に所属し、27歳で独立
創業と再生: 「切り捨てられた債務者の救済」を掲げて虎ノ門キャピタルを設立。その後、医療法人などの経営再生を手がける「ユカリア(旧キャピタルメディカ)」を設立。
現職: ユカリアの上場を果たした後、社長の座を譲り、現在は同社会長。
シェフとして: 金曜夜限定の招待制レストラン「ビストロ・淳」で、最高の仲間たちと共に贅を尽くした宴を開催するオーナーシェフ。

夢を引き寄せるタイミングと「金曜日のビストロジュン」

小4で「公認会計士になりたい」って思った原点も、債務者救済の虎ノ門キャピタルからユカリア創設、そしてシェフの夢を叶える流れも胸が熱くなりました。

愛媛県松山からスタートし、公認会計士、病院再生を支えるユカリアの創設と上場。辣腕経営者としてトップを走り続けてきた彼ですが、「いつかシェフをやりたい」という原点の願望をずっと持ち続けていました。

それが上場や信頼できる仲間との出会いという「タイミング」や「成り行き」と重なり、金曜日の夜限定で自身がシェフを務める隠れ家レストランという形で見事に結実します。

「やりたい」という強い意思を持ち続けていれば、必要なタイミングで必然のように道が開けていくのだと、彼の生き様が証明してくれています。

コロナ禍で2年間毎日記事を書いた私自身の体験と重なる「人生の巡り合わせ」

この本を読み進めながら、人生って、想像もつかないような巡り合わせや物語で満ちているな、と改めて実感しました。

愚直な継続が引き寄せた「会社設立」と「自社メディア」

私自身、コロナ禍という世界的な大きな変化の中で、2年間毎日記事を書き続けました。

当時はただ夢中で自分の想いや体験を言葉にして発信していましたが、その積み重ねが思いがけない巡り合わせを生み、人の役に立つことで仕事となり、最終的には会社設立や自社メディア「Recal(MADIA)」の立ち上げへと繋がっていったのです。

最初は小さな点に過ぎなかった行動が、あとから振り返るとすべて意味のある必然の線として繋がっていく。

まさに古川氏が公認会計士から病院再生、そしてシェフへと夢を形にしていったプロセスと自分の歩みが重なり、「人生は何が起こるかわからないし、自分の意思さえあれば必ず道は作れる」と強く再確認することができました。

自分らしい生き方のヒントをもっと探したい方は「普通」なんて存在しない。偉人の名言に学ぶ“自分らしい生き方”もチェックしてみてください。

『金曜日のビストロジュン』本音レビュー&正直な評価

300冊以上の本を自宅に揃え、日頃の食生活にも質感やこだわりを追求している本愛好家の視点から、本作の「魅力」と「気になる点」を包み隠さず本音でレビューします。

ここが素晴らしい!3つの魅力

  1. ただのグルメ小説を超えた「人生のやり直し」と「自己解放」
    第五話をはじめ、自分の間違いや大切なものの価値に気づき、いくつになっても人はやり直せるのだと教えてくれる温かい救いがあります。
  2. 古川淳氏の実話をベースにした圧倒的なリアリティ
    愛媛県松山からの歩みやユカリア創業、「メログラーノ」の後藤シェフなど、実在のプロフェッショナルたちがリアルに描かれているためストーリーに圧倒的な説得力があります。
  3. 五感と心を刺激する極上のおもてなしとペアリング
    最高級の食材とワイン・日本酒のペアリング、古川氏らの温かいおもてなしが、読者の心までじんわりと満たしてくれます。

正直な弱点・気になるポイント

  • 夜中に読むとお腹が空きすぎる
    あまりにもお料理やワインのペアリングの描写が魅力的で美味しそうなため、空腹時の読書は禁物です。
  • 続編が今すぐ読みたくなってしまうもどかしさ
    「次は和食…?」というオチも含め、シェフ・淳のシリーズとして続きが読みたくなり、読み終えたあとに強烈な「ロス」が訪れます。

気になった方は、ぜひ手にとって読んでみてくださいね!

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FAQ(よくある質問)

Q1. 『金曜日のビストロジュン』の発売日はいつですか?

A. 単行本の新刊として9月に発売されます。角川春樹事務所より刊行されている注目のグルメ・エンターテインメント小説です。

Q2. 作中に登場するオーナーシェフ・古川淳氏は実在人物ですか?

A. はい、実在する株式会社ユカリアの創業者・古川淳会長がモデルであり、愛媛県松山出身、公認会計士から実業家、シェフへと至る経歴も実話に基づいています。

Q3. 「ユカリア」とはどんな会社ですか?

A. 株式会社ユカリア(旧キャピタルメディカ)は、病院の経営再生や医療・ヘルスケア分野の総合サービスを提供する企業です。古川淳氏が創業し、上場を果たしました。

Q4. 料理の知識がなくても楽しめますか?

A. 十分に楽しめます。山口恵以子さんの優しく軽やかな文章によって、高級食材やフレンチ・イタリアンの技法、ペアリングの魅力も分かりやすく描かれています。


まとめ

『金曜日のビストロジュン』は、美味しいお料理やワインの描写に心が躍るだけでなく、「自分の意思さえあれば、人生はいつからでもどこからでも開けていく」という深い勇気を与えてくれる一冊です。

小4の夢からスタートして経営者へ、そしてシェフへと歩みを進めた古川氏のように、日常の食や選択を大切にしながら、自分の人生を心地よく切り拓いていきたいですね。

挑戦のタイミングや自分らしい生き方に興味がある方は、ぜひ【何か始めるのに遅すぎることはない】人生を変える“挑戦”のタイミングは「今」の記事もチェックしてみてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございます。

日々の学びや気づきを大切にしながら、自分らしいライフスタイルを歩んでいきます。

本記事が日々の暮らしのヒントになれば幸いです。

また次の記事でお会いしましょう☺︎

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